
ビッグベイトには必ずと言っていいほど付いている「テール」。何故「KRK205」に尾ビレをつけなかったのか。
KRK205の初期プロトはジョイントも尾ビレも無い、ワンピースボディのグライドベイトでした。
このワンピースボディのグライドベイトに求めたのは、左右へのキレのあるダートアクション。
ロッドでアクションをつけると1mほどの幅でバビューンと左右に跳ぶ強烈なダートアクションが持ち味でした。
ただしこれには大きな問題が一つ。
ダート幅が広すぎて・・・「ラインを追い越す」、そして、次のダートでフックがラインを拾いエビになる確率が異常に高かった。
使い方も少し単調になってしまい、キレは良いもののただ大きく左右にダートするばかりでもう少し操作感が欲しいなぁと。
そこでもう少し小技が効くようにしたいと思いジョイント化。
ジョイント化した事により、操作次第でクイックな首振りアクションから、ワイドな足の長い左右へのダートアクション、360度ターンまで思い通りに動かせるようになりました。
当然ここで尾ビレをつけ、見た目にリアルな魚の形状を試してみたわけですが…
クイックなアクションが死んだ…
尾ビレをつけた事で直進性がアップしてS字の幅が大きくなり、ただ巻きでの動きは綺麗なS字を描くものの、クイックな移動距離を抑えた左右への首振りアクションが消え、強くジャークするとグルンと一回転するようになってしまいました。
結局、硬質素材でテールを付けたら・・・何ていう意見も出ましたが、コレはこれでボキッといったら・・・(汗)ですし、提供出来る価格も上がるというジレンマに。見た目にリアルな形状は捨てがたいけれど、尾ビレ無しの方が動きのキレが良く思い通りに動かせるので思い切ってテール無しを採用することに。
もちろん、尾ビレを無しにした事でメリットもたくさん。
一つは高速巻き。
尾ビレの抵抗がなくなった事でどれだけ早く巻いてもバランスを崩さず最後まで泳ぎきり、流れの速い川の中でS字系ルアーが使えるようになった事。
そしてジャークベイトのように激しくジャークして使い、どこへバイトするか分からないような状況でもフロント、リア、テールフックと3本の針で高確率にバイトを絡めとることが出来るようになった事。
若干キレは落ちますが、テールフックをフェザーに交換するのもまた良し。アクションした後に遅れてフェザーフックが靡くのでこれはコレでめっちゃ有りです。
などなど、今までのS字系とは一味違う幅広い使い方が生まれました。
ビッグベイトにおいてテールが無いという事は、形状によっては動きがより良くなるという恩恵を受ける事が出来ます。